【ボランティア白書】韓国からのメッセージ

パク・ユナエさん 

ボランティア活動推進国際協議会(IAVE)

アジア太平洋地域代表

 

 

おめでとうございます。

 

韓国における、ボランティア活動の簡単な歴史と傾向、社会問題やCOVID-19に対処するための現在の取り組みについてご紹介、ご報告をもって、報告書のお祝い申し上げたいと思います。

 

韓国におけるボランティア活動の精神は、5,000年の歴史の中に受け継がれています。近代的な意味でのボランティア活動は、1903年に韓国でYMCAが設立されたことから始まりました。韓国でボランティア活動がブームになったのは1990年代です。

 

1980年代後半の民主化とオリンピックをきっかけに、新しいボランティアの形が広まりました。1994年には、「韓国ボランティア」や「韓国大学社会奉仕協議会」など、多くの民間ボランティア団体が設立されました。

 

 

1996年から2004年にかけて、多くの地域でボランティアセンターが設立され、ボランティア活動は専門的な分野に発展していきました。国連の「ボランティア国際年(IYV2001)」に合わせて、韓国のボランティア部門は2001年に「ボランティア国際年国民ボランティアウェーブ運動」を開始し、2002年にはソウルで「第17回IAVE世界ボランティア会議」を開催しました。

 

「ボランティア活動基本法」(2005年)の制定により、韓国のボランティア団体やセンターは、ボランティアの育成、プログラムの開発、関連研究などをさらに専門的に行うことができるようになり、ボランティア活動の環境が整ってきました。また、この法律はボランティア管理の能力を高めました。

 

 

2007年に忠清南道泰安郡(チュンチョンナムド・テアングン)沖で発生したヘーベイ・スピリット号原油流出事故の際、ボランティアによる災害救援活動は、災害復興に大きく貢献し、韓国社会に大きな影響を与えました。

 

 

2010年以降、韓国の市民社会は政府との協力関係を拡大し、共同して政策設計や意思決定のためのパートナーシップを行っております。韓国のボランティア活動は常に進化しています。同時に、韓国のボランティア活動は、過去10年間の急速な制度化により、解決すべき課題に直面しています。

 

2005年以降、韓国のボランティア活動は、全国的に参加率が低迷しております。2017年に実施した、ボランティア文化韓国のボランティア調査によると、20歳以上の参加率は2014年の22.5%から2017年には21.4%に減少しました。韓国のボランティア活動を促進するため、ボランティア団体とセンターが一緒になって「2016年~2018年の韓国ボランティア年」を宣言しました。それ以来、社会的影響力を拡大し、社会問題を解決するためのボランティア活動を行うことで、持続可能な未来のためのボランティア活動へのパラダイムへの変革のための努力を続けております。

 

現在、韓国では、社会的協同組合や様々な村落共同体運動など、社会経済分野が急速に拡大しています。加えて、デジタル環境の発展に伴い、あらゆる世代の社会関係がソーシャルネットワーキングサービス(SNS)に移行する中で、寄付やキャンペーン、アドボカシーなどの市民参加がオンラインプラットフォー

ムを通じて行われるようになってきています。ボランティアセンターやボランティア団体も、このような市民参加のトレンドの変化や、新しいタイプのソーシャルアクションに対する市民のニーズの高まりに対応して、活動の仕方を変えつつあります。

 

ボランティア活動を持続可能な開発(SDGs)に結びつけることは、韓国のボランティア部門にとってもう一つの重要な課題です。SDGsは、韓国の社会問題を解決するためのボランティア活動のパラダイムシフトにおける重要な戦略の一つと考えられています。

 

最近では、新型コロナ感染症対策として、ボランティアが広範囲かつ創造的に活動に参加しています。6月末までに70万人以上のボランティアが参加し、世帯への再利用可能なマスクの配布、「必要な人にマスクを差し上げます」キャンペーン、医療従事者を支援するためのドライブスルーでの寄付キャンペーン、公共施設の消毒、中小企業や農家へのカウンセリングや支援などが行われました。

 

 

(参考;宋貞安「韓国のボランティア」、2018年未発表論文