全米ボランティア会議2010レポート

毎年開催の全米ボランティア会議(National Conference on Volunteering and Service)は、今年6月28日~30日の間、ニューヨーク市のヒルトンホテル、シェラトンホテルを舞台に開かれ、熱気のこもった会議の様子を報告します。

 

テーマは “It’s Up To You”(あなたに任せます)

 

 開会式は歴史あるホールのラジオシティで、全米各地から集まった6千人余りの参加者が会場を埋め、MSNBC朝番組(モーニング・ジョー)の男女司会者が颯爽と登場、軽妙なやり取りで開始。  

 主催者のポインツ オブ ライト インスティチュート、ナショナルコミュニティサービス オン ボランティアリング&サービスのCEO(最高責任者)が挨拶後、ホワイトハウス・国内政策カウンシルのM.バーンズ女史は、政府は全てのことをできず、教育、災害、地域などの場で活躍するボランティアの力を評価、賞賛し、加えてミシェル・オバマ大統領夫人のビデオメッセージを披露。

 M.ブルーンバーグNY市長は、公共サービスのあり方として、国内初のサービス都市(America’s First City of Service)として様々な市の取り組みに市民ボランティアを活用、先駆的なリーダーとして全米に水平展開していることを説明し、意欲を見せました。この動きをロックフェラー財団が支援している。

 

 続いて、盲目のパターソンNY州知事はビデオを通じて、2年前に始めたニューヨーカーボランティア(New Yorkers Volunteer)では、他のボランティア団体ともパートナーを組み、より多くの住民にボランティアとして活動する機会を提供したこと、ひとりひとりのニューヨーカーがステークホルダーとして、地域に時間と才能を発揮できるように、最大限の努力を続けることを約束されました。

 2時間半の開会式を通じて、国中が社会に影響を及ぼそう(Make a Difference)、変化への渇望(Thirsty of Change)を共有していること、ボランティアのインフラ(基盤)が定着してきたことが伝わる内容だった。昔は家を建設するのは政府の仕事、1960年代にはNPOが担い、今はボランティアに移ってきたと、例を挙げて説明していました。

 

 プログラムは、27の重点分野*と170余り のワークショップで構成され、開会式も含め各自がオンラインで申し込み、事前に自分のプログラムを作ることができます。その他に週末を利用して26日(土)から事前会議(Pre-Conference)が設けられ、企業、NPO、団体などの関係者が集まって会議を実施します。また会議期間中の昼には、9種類のボランティア表彰があちこちの部屋で昼食を提供して行われました。これに参加するには、別に招待券が必要。

 

*教育、経済、地域サービス、国際的サービス、災害、健康、社会改革、リーダーシップ、フィランソロピー(社会貢献)、メディア、障害者、高齢者ボランティア、青年ボランティア、行政、企業、財団、NPOの能力強化、など。 

 

全体を通して印象に残ったことは、

・より多面的な協働パートナーシップの構築

 NY州の市や町が、国内ボランティア団体のアメリコー(AmeriCorps)、シニアコー(Senior Corps)、サービス・ラーニング、また多くの学生を抱える大学などと手を組むことで、ボランティア施策を協議、活動の機会を創出し、地域をより魅力ある「わが市・町」に変化させていく多くの実例が発表された。実際ニューヨークはすっかりきれいで安全で活気ある町に変貌、汚かった地下鉄のイメージは今や完全に払拭。

 

・社会革新の担い手として意気込みと強いリーダーシップの発揮

 Social Innovation(社会革新)という言葉が頻繁に使われていた。変化させていこうとするエネルギーと、リーダーの強い責任、意欲が響いてくる。ワークショップでも新たな取り組みが次々と紹介され、変化の度合いを詳しく分析している例もある。

 

・格差社会への対応

 Targetの発表によれば、アメリカでは、83%の仕事が大卒能力を必要としているなかで、高校生の1/3が退学している現実。食料の廃棄処分がある一方で、1千7百万人が十分な食事にありつけないという現実。人々から収入の5%を募り、様々な問題解決に生かしている。

 

 帰国と同時にNY市長より参加者宛礼状が届いていました。