世代を超えて心豊かな社会を求めて―世代を繋ぐ活動の事例

(第2回病院ボランティア国際フォーラム(2013 年9月開催)IAVE日本後援・協力) 第三分科報告より)

 

発  表  者     佐々木 照子氏   間瀬 有美子氏

コーディネーター    脊 戸 明子氏(IAVE日本ボランティア活動推進国際協議会日本理事長)

 

事例報告者    佐々木 照子氏  (IAVE日本理事・目黒中央ボランティアの会代表)

 

半世紀以上にわたりボランティア活動を続け、日本国内外から「ボランティアの母」と呼ばれている佐々木さんの発表は学級崩壊問題で荒れていた公立中学校の生徒と老人施設、また地元とを繋げた事例です。

一つ目は文通を通しての活動です。

在日韓国人として虐げられたことで人間不信に陥り、施設で酒に入り浸りながら暮らす孤独な老人と、自分の「おじいさん」と思いながら手紙を書き続けた女子中学生との文通により、頑なだった老人の心は次第に相手を受け入れるようになり、その喜びで自ら掃除をするなど行動面での変化がでてきて、亡くなった時はその手紙の束を大事にお腹に抱えていらしたとのことです。

次の例は、ご自身が毎週日曜日、28年間継続している独居老人と老夫婦世帯に食事を作り配食する地域の活動に、地元の中学生が書いたカット絵に一言メッセージを載せてお弁当を配るという3世代間の心の交流です。老人たちはお弁当とカット絵の到着が毎週楽しみで、食事の後はカット絵に色塗りをして心を豊かにみたします。ある時母親の残した絵を持って、中学生たちに感謝を込めて渡した息子さんがいました。色塗りは半分ほどでしたが、最期まで笑顔で楽しんで筆をとっていたお母さんの証です。

 

間瀬 有美子氏 (前IAVE青年担当理事・学生ボランティア市民団体G-Child主宰)

 

佐々木さんより50歳若い間瀬さんは、大学時代に参加したアメリカ研修で幅広いボランティア活動を知り、大学を卒業後地元で就職の傍らG-Child(蒲郡チャイルド)という学生ボランティア市民団体を創設、主宰しています。若者たちが実際に経験することで地域を知り見直すことが大事と地元商店街、  市役所、商工会議所、住民たちと共に活動するプログラムを創り活動しています。学生たちには日頃から「やりたいことは自分たちで。やりたくなければやらなくてよい。イヤイヤやるならやめて欲しい。」と導きます。実際に不登校の子供が地域に育てられる例もあります。ボランティア活動のきっかけは、学校の単位認定のためでも何であれ、まずやってみることが大事です。

 

■まとめ

「世代を超えたボランティア活動」を行う二つのキーワードとして、佐々木さんは「受容の心」と「失敗を恐れず」、間瀬さんは「よく聞くことの大切さ」と「創造的になること」でした。お二人の発表は、人間の行為には必ず授け手と受け手がいて、互いに他者の結びつきがあって生かし生かされるという「人間の本質」を見事に表されています。「世代を超えて良いことを伝えていこう」という言葉で、分科会を終えました。