「ボランティア活動の世界の潮流と新たなチャレンジ」 (2013年9月)

当団体会員の市立札幌病院ボランティアの会

“やさしさ・ジェントル”向井和恵代表は、第1回会議から10年目となる、2013年9月13・14日にホテルライフォート札幌に参加者450名を迎え、第2回を開催しました。実行委員の皆さんは全てボランティア、夫々の強みを発揮して手探りながらも、見事な連携で国際会議を成功に導きました。

 IAVE日本は実行委員として側面協力し、基調講演にはカン・ヒュン・リーIAVE会長、分科会「世代を超えて心豊かな社会を求める」ではIAVE日本から佐々木照子理事、間瀬有美子会員、脊戸が進行役を務めました。

 

リー会長の基調講演より

世界におけるボランティア活動の新たな傾向は、青年、企業や国際ボランティアの活動等に現れています。ボランティアの基本は自由意志、自由選択であって金銭的見返りを求めず他者あるいは社会に貢献することです。しかし文化や国、地域によって違う場合があります。国によっては学校で学生に対しボランティアを義務付け、また特に発展途上国などではボランティアをすることで食事交通費等が支給され、それで生き延びることが出来る場合もあります。いくつかの国に於いては、家族、友人に手を差し伸べるのは義務ととらえます。このように、文化や国、地域によってはボランティアの定義が変わってくるのです。

今、世界のボランティア活動人口は12億人といわれています。これは6人に一人がボランティア活動をしていることを示しています。2001年に国連が「ボランティア国際年」を設置して以来、ボランティア活動が注目され、多くの政府がボランティア活動を非常に重要な活動として、政策にも取り込んでいる現状があります。国連の世界の平和構築、開発にはボランティア活動が不可欠であるとも言われています。

  国によってボランティア活動のニーズに違いがあります。ヨーロッパなど社会基盤や福祉制度が整っている国は社会福祉などの日当は政府から提供されています。ヨーロッパ・ ボランティアセンターが2012年に実施した調査によると、ヨーロッパの3分の1以上の国々はスポーツボランティアに参加しています。アフリカではエイズが蔓延しているため患者の世話をするなど、健康保健分野での活動が主要です。アジアに関しては地域開発のボランティア活動が活発に行われています。

 では、どのように促進できるのか、そのためには政府からの支援が必要になってきます。政府がボランティア活動に対して深刻に捉え、政策にも取り込んでいくにはその成功例やボランティア活動状況を数値化し統計を出す必要があります。ノーベル賞を受賞したジョン・ケネス・ガルブレスの残した名言「活動を数値で表現できなければその重要性は認識されない」。そのため、ボランティア活動について調査をして経済的価値を表現しなくてはなりません。最近国連では加盟国にボランティア活動の全国調査を行い、その経済、社会的価値の成果を発表することを求めています。ジョンズホプキンス大学が中心となりボランティア活動を数値化するための開発を行い基本的な調査票を作成し、国際労働機関が承認し投資もしています。これは「ILOジョンズホプキンス大学の調査」としても知られています。

 次にインフラに関することですが、多くの発展途上国はボランティア活動を推進する為にボランティアセンターを設置しています。機能として、ボランティア活動とボランティアをする場をマッチメイキングする伝統的な使命がありました。しかし、多くのボランティアセンターが今日では独自のイベントを企画するようになり、直接ボランティアをイベントで使う傾向になっています。世界のボランティアセンターではキャンペーンを行って、必要な技術をローカルセンターにサービスとして提供しています。多くの政府がボランティア活動の重要性を認識し、ボランティア活動に関する法律を制定する傾向にあります。国連による「ボランティア国際年」(2001年)以降、77ヶ国が新しい法律を制定し、既存のボランティア法を改正しました。 

 現在では95%のボランティア活動がSNSやオンラインによるマッチメイキングで行われています。これは新しい傾向で社会的な問題の解決も、オンラインによって行うことができます。ボランティアセンターを訪ねなくても在宅でSNSによってボランティア活動ができるのです。マイクロボランティアリングと呼んでいますが、これは一時的あるいは短期間のボランティア活動でボランティアが自分達でマネージメントを行い改善するのです。ボランティア活動が効果的効率的に行えるように企業も促進しています。企業間や他組織とのパートナーシップを利用してコミュニティのスキルアップが行えるような環境を整える方向に向かっています。                    

 近年世界では多くの問題が生じております。高齢化、難民問題、自然災害などの解決には、優れたマネージメントが必要です。企業・政府・NGO間のパートナーシップが重要になり革新が叫ばれています。ITスキルの高い若者やエンジニア等の集団が問題解決に貢献する等の実態があります。これは社会の急速な変化によるものです。グローバルユースボランティア(世界の青年ボランティア)たちは、オンラインで出会い交流し、ボランティア活動で求められるスキルを得たり、活動の情報を交換することでより的確なボランティア活動を行っています。青年たちは最も力のある世界最大のバーチャルコミュニティを築いています。

このように多くの人々が手を繋ぎ、ボランティア活動が支えられ、より発展していることを伝えさせていただきました。

 
(第2回病院ボランティア国際フォーラム(2013 年9月開催)IAVE日本後援・協力) カン・ヒュン・リーIAVE会長の基調講演より)