【ボランティア白書】IAVEからのメッセージ

二コル・シリリョさん

ボランティア活動推進国際協議会(IAVE)常任理事

1990年代初頭、私は福岡、大濠公園のすぐそばに2年間住んでいました。 毎朝、通勤時に大濠公園を通ると、掃除をしている人、ベンチを直している人、木や低木を手入れしている人を見かけました。 後で知ったのですが、彼らはボランティアで、都心のこの場所を誰もが楽しめるように、その美化・保全時間を割いているのだそうです。 

 

日本での生活を特徴づけるものはたくさんありますが、中でも一番印象に残っているのは、日本の人々の深い優しさです。 街の中で道を尋ねたとき、博多の豊かな伝統を理解するため、助けが必要なときは、いつでもボランティアが手を貸してくれました。

 

国連の持続可能な開発目標や2030年のアジェンダは、ボランティアの多大な努力なしには達成できないことが明確に認められています。これは、新型コロナ感染症パンデミックという世界的な健康危機が起こる前から認識されていた事実です。 また、今回の危機を通じて、ボランティア活動の注目度と価値が高まったと断言できます。熟練した専門家が行うボランティア活動、既存の組織内で行われるサービスの維持・拡大のためのボランティア活動(フードバンクなど)、そして、助けたいと思う個人が自発的に行うボランティア活動など、直接的なサービスであれ、私たち全員がこの危機を乗り越えるための環境の構築・維持であれ、様々な形でボランティア活動が行われています。

 

ボランティア活動推進国際協議会(IAVE)では、50周年を迎えるにあたり、世界中のメンバーやサポーターの皆様に、より多くの支援をお届けすることを目指しています。 一例として、ボランティア活動推進日本協議会(JAVE)がメンバーとして参加している「ボランティア・リーダーのグローバル・ネットワーク(Global Network of Volunteer Leaders)」は、各国でボランティア活動の仕組みづくりに取り組んでいる団体のスキルや能力を向上させるために立ち上げたものです。 このネットワークには多くの利点がありますが、中でも最も重要なのは、ボランティア活動の実践と精神を促進するために一丸となって活動するアクターのグローバルなコミュニティを創出することです。  また、グローバル企業ボランティア協議会との連携を拡大し、奉仕活動を通じた従業員のエンゲージメントの革新に向けた道を確実に切り開いております。

 

JAVEが国際ボランティア年の20周年を記念してボランティア白書を発行されましたが、皆様がご自身の組織の次の章に着手される際には、この白書のストーリーをお読みになり、これからの仕事へのインスピレーションを得ていただきたいと思います。多くの課題が待ち受けており、それぞれの地域や世界で、課題解決のために世界中のボランティアの力とエネルギーが必要とされています。

 

今こそ、ボランティアとして、ボランティア活動とそれがもたらす価値を支持するために、両手と声を上げる時なのではないでしょうか。

 

ガンバッテ。

 

ボランティア活動推進国際協議会(IAVE)常任理事

二コル・シリリョ