持続可能な開発のための目標(SDGs)とボランティア活動

国連開発目標におけるボランティア活動と市民社会の促進は新しい現象ではありませんが、国連、並びに関係機関はSDGsの導入に際して市民社会とボランティア活動が重要な役割を果たすことを改めて認識しています。この重要性は、ハイレベル政治フォーラムのステークホルダーとして、ボランティアグループや非政府組織を含められていることによっても明らかです。

 

ボランティアグループは、異なるセクターの人々をつなげるための空間を提供し、社会の課題とその解決のための計画や実行をより地域に根差したものとするために重要な役割を果たしていくと考えられています。

 

では、SDGsにおける、ボランティアグループの関わりとは何か、またボランティアが行うことができる活動は何かを「国連ボランティア(UNV)」のツールキット「ボランティア団体のための情報とガイド」(注1)から確認したいと思います。

 

(注1)本文は、UNVの「information and guidance for volunteer organizations」の要訳です。


持続可能な開発のための目標(SDGs)とは

 

持続可能な開発のための目標(SDGs)とは、国連ミレニアム開発目標(MDGs)の後継の2016年から2030年までの国際目標です。MDGsでの成果・課題・教訓を踏まえ、17の目標・169のターゲットの達成、“地球上の誰一人として取り残さない”ことをスローガンとして掲げています。

 

2012年6月の国連持続可能な開発会議(リオ+20)でSDGの策定についての合意がなされ、2013年3月より「SDGsに関するオープン・ワーキング・グループ(OWG)」の下で政府間の協議が行われてきました。2015年9月25日から27日に開催された国連サミットで「持続可能な開発のための2030アジェンダ」として採択されました。SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)な目標です。

 

SDGsにおいてのボランティアとの関連性とは何か

 

SDGsは、組織による行動を通してのみだけでは達成することはできません。2030年アジェンダは、これまでの既存の政策実施手段は、人々や地球全体に有用な能力を促進する住民参加型の仕組みによって補完される必要があると認識しています。

なぜなら、SDGsは全ての段階において人々の関与、ボランティアグループを含めた新しいパートナーシップ抜きには達成することはできないからです。

 

ボランティアグループは、コミュニティレベルでのボランティア活動と組織主導のアクションを結びつけるための仲介者であり、住民参加のための空間を提供します。

SDGsと整合させる政府と機関による計画立案段階から、ボランティアグループが関わっていくことが非常に重要です。ボランティア活動は、ボランティア自体に変化を起こさせるのみならず、変化は彼らと共に活動する人々にも起こります。

 

ボランティアの重要性は、国連ボランティア(UNV)のポスト2015年開発アジェンダのポジションペーパー(方針書)において表明しています。ボランティア活動は、普遍性があり、市民の参与、社会的包括性、連帯、オーナーシップを強めています。

また、ボランティア活動は、国民総生産(GDP)を超えた人間の幸福と持続可能な人間開発の進歩を実証するための新しい測定の枠組みの一部とされるべきと考えています。

 

ポスト2015の持続可能な開発アジェンダ、事務総長報告書(国連文書A / 69/700)では、ボランティア活動がSDGsのための「強力で横断的な実施手段」であることを認識しています(注2)。市民を動員し、掲げている課題を解決すべく具体的かつ広がりをもった行動となるようにし、政府と人々の間に新しい相互作用の空間を提供することで計画と実行に関与させ、アジェンダを地域に根差していく活動とすること。ボランティアの役割は上記の点において強調されています。

 

アジェンダの達成のために能力を動員し、行動の範囲を広げることで、ボランティアは、SDGsの計画、実施、モニタリング、社会資本の橋渡し、社会的結束の強化における人々の関与を支援します。

 

ボランティアは:

 

  • 技術的なサポートを提供でき、SDGsすべてのテーマの目標とする分野において能力を強化することができます。例:持続可能な生計、健康、教育、雇用、環境、ジェンダー、若者などの分野
  • 対話と行動のための新しい空間を促進することができます。「誰も取り残されないようにするため」に、周辺化されあるいは、手が届きにくい人を含めた人々に手を差し伸べること、人々の声や知識をアジェンダ達成のための共通行動に導くことができます。これはSDGsのオーナーシップとローカル化を行う上で重要です。
    • 意識を高めたり、変化を支えたり、他の人々に影響を与えたり、考え方や行動の持続可能な変化を促したりすることができます。
  • データの収集、専門知識の提供、参加型の計画とモニタリングのサポートを通じて、SDGs導入の進捗状況を測定する助けになります。

 

(注2)国際連合広報センター

第 69 会期、議事日程議題 13(a)および 115、経済的、社会的および関連分野における主要な国際連合の会議およびサミットの成果文書の、統合されまた調整された実施およびフォローアップ、2014年12月4日

http://www.unic.or.jp/files/a_69_700.pdf

 

131.能力を構築し、新しいアジェンダが根付くことを助けようとした場合に、ボランティア活動は実施について協力かつ分野横断的な一手段となりうる。ボランティア活動は、構成要素を拡大しまた動員すること、また人々が持続可能な開発の国家計画や実施に従事することを助ける。またボランティア集団は、具体的また測量可能な行動について、政府と人々の間の相互作用という新分野を提供することにより、新しいアジェンダを地方に適用できるように変更することを助ける。

 

ボランティアはSDGsと関連したどのような活動を行えますか?

 

ボランティア活動とボランティアは様々な方法でSDGsの一つあるいはそれ以上の目標の中で、変革をもたらし貢献します。2030年のアジェンダ、目標17(注3)では、すべての目標の実施には、ボランティアグループが重要な役割を担うことが明確に言及されています。

 

(注3)目標17:パートナーシップで目標を達成しよう

 

2015年11月2日時点で、ボランティアは、以下に述べる分野でその専門的技術を提供しています;健康(目標3)、教育(目標4)、清潔な水と衛生(目標6)、再生可能エネルギー(目標7)、持続可能な生態系(目標13、14、15)。ボランティアたちはスキルを発達させ能力を構築し、特に若者や雇用市場へのアクセスが制限されている人々の雇用可能性を高めることができます(目標8およびすべての目標)。

 

ボランティアは変化を引き起こす社会における媒介、また規範となる態度において実績があります。ジェンダー平等(目標5)、清潔な水と衛生(目標6)、持続可能な消費(目標12)、気候行動(目標13)などの問題にそれらが発揮されています。ならびに和解、関係性と信頼の構築と、社会資本の増大および社会的結束の強化を導いています(目標16)。

 

SDGsという文脈でボランティアが行える潜在的な活動は以下になります。

 

  • SDGs全ての目標の国内化に貢献するために、遠隔地域や少数民族を含む地域でのキャンペーン活動や創造的アプローチを通じて、2030年の議題についての意識を高めること。
  • ミレニアム開発目標の未完成な分野(目標1〜5)の主題分野における必須の基本サービスを補完するための技術的専門知識を提供。(目標 6、7、13〜15)
  • ボランティアの規範的な行為や態度が、アジェンダを真に変容をもたらす作用をもたらし、地域レベルでSDGsへ貢献するための知識と意欲を高めること。(例えば、目標5、6、12、13、16)
  • 人々が直面している課題への好機と感じさせ、オーナーシップを育てるように動員し、全ての目標の計画、実施とモニタリング段階において関与させるべく人々を促すこと(目標17)。
  • 地域で専門知識の普及を促進しながら、知識と経験の移転、さまざまな目標にわたるスキルを開発すること。(例、目標8ならびにすべてのゴール)
  • データの収集、SDGsの進捗状況の評価、参加型のモニタリング、地域アウトリーチ、MY World 2030調査(注4)(目標17およびすべての目標)などのツールの普及を通じて、地域の専門知識を活用すること。

(注4)世界的開発課題を決めるための、史上最大規模の市民アンケート調査。

 

全体として、人々の関与とコミュニティ行動を増やすことによって、ボランティア活動は開発ソリューションのための地域レベルでのオーナーシップを育み、レジリエンスを高め、準備を強化し、すべての目標の達成を支援します。

 

ボランティア団体は、関与を仲介し、政府の戦略やイニシアチブを補完的かつ不可欠なコミュニティの自発的行為(すべてのゴール)と結びつけることによって、重要な役割を果たすことができます。

 

国際、国内、地域のボランティアの行動を波及効果と組み合わせることで、アウトリーチを増やし、すべてのゴールエリアにわたって結果を拡大することができます。