スウェーデンの政治参画の仕組み

衆議院が解散され、10月に選挙が行われます。日本では若者世代の投票率の低さが指摘されており、投票を促すための様々なキャンペーンも実施されます。

 

 

今回は、スウェーデンの若者の社会参画・政治参画の事例をいくつか紹介します。「選挙の際に、投票に行くこと」だけでない、トータル的な仕組みが浮かび上がってきます。

 

※本項は2014年時点の情報を元に作成しています。


1. 学校教育庁

l  スウェーデンの学校教育の中心的役割を担う。

l  特定の科目はないが、様々な場面で、民主主義を学ぶ場を提供する。例えば、10万円を生徒会に渡して、購入する遊具を決め、その後その影響を見るなど。

l  学校に政党を呼ぶことも奨励されている。(しかし、極端な主張をする政党も呼ぶため、ジレンマはある)

 

2. 青年事業庁

l  スウェーデンの若者政策の中心的役割を担う(主に雇用・教育・政治)

l  2つの目標

①スウェーデンの若者が実質的な影響力を持てるようになること

②若者が自分たちの幸福に関する社会的意思決定過程の中に入ることを保障すること」

役割

①各政府機関が実施している若者政策をフォローアップ・レビューし、若者政策がプラスのスパイラルに乗っていることをモニタリングすること。

②調査研究:特定のトピックに焦点を当て、毎年調査と研究する。(知見に基づいた政策を行うために調査研究をきちんとする)

③地方の支援

④「LUPP」:各自治体が参加しているアンケート。若者が置かれている状況や、何を望んでいるのかをアンケート調査する。

⑤補助金の拠出:若者組織・女性団体・マイノリティ団体へ、プロジェクト単位・組織単位などでサポート。

⑥若者自治体オブザイヤーの選出。毎年、この地域の若者政策は特筆すべきと表彰

⑦学校選挙のサポート。「模擬選挙」ツールキットの作成・配布。マニュアルやディベートツールなど。

 

3. 全国青年連盟(LSU

l  国から潤沢な補助金を受け取って運営されているNGO30人の若者が職員として働いている。

l  青少年大臣がこのLSUといつも連携して、政治の中でも若者の利益を拡大する活動を行っている。

l  国や地方自治体が若者に利益を与える活動をしているかどうかや、予算が若者のために使われているかをリサーチして広報している。

l  このLSUの下に余暇・スポーツ団体から政治団体を含め100近い青少年や若者の団体が加盟している。

 

4. ユース・デモクラシー

l  スウェーデンでは、選挙権や被選挙権が18歳から認められており、2010年には18歳の国会議員が誕生した。

l  スウェーデンには、生徒会をはじめとした「スクール・デモクラシー(学校民主主義)」といわれる仕組みがあるうえ、若者の声を政策に反映する環境や仕組みが整備されている。

l  EUでは、国と自治体が連携した若者政策を支える仕組みがあり、若者評議会(ユース・カウンシル)など自治体での若者参画の仕組みがある。

 

結果、スウェーデンの若者の6割以上が「自分たちの活動は社会に影響を与えられる」と答えています。(NPO法人Rights調べ)

 

参考書籍・サイト

18歳が政治を変える — ユース・デモクラシーとポリティカル・リテラシーの構築』(現代人文社 

20歳からの社会科』(日本経済新聞出版社 

http://rights-jp.sakura.ne.jp/archives/youth/

https://tatsumarutimes.com/archives/183

 

http://www.murc.jp/english/think_tank/quarterly_journal/qj1003_06.pdf