【インタビュー】 現場での実感から社会問題を「自分のもの」へ-岡田守弘さん(NPO法人NICE 海外派遣事業部部長)

はじめまして。学生記者の湊と申します。これからボランティアに関する様々な記事を書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

 

今回は、ある場所で一定期間ボランティア活動を行う「ワークキャンプ」を国内外で展開する「特定非営利活動法人 NICE」さんの活動について、海外派遣事業部部長を務める岡田守弘さんにお話を伺ってきました。


1. ワークキャンプは社会問題を自分のことのように感じるチャンス

 

―はじめに、NICEの活動コンセプトを教えてください。

NICEは「カラフルでヘルシーな世の中」を目指して活動を行っています。「カラフル」は多様な文化や自然の共存、「ヘルシー」は心身だけでなくそれらの文化や自然との関係も自然であることを意味しています。世界トップクラスのネットワークで繋がる日本全国・世界各国の人々とともに、多様性のある地球社会を開拓しています。

 

―他にも様々なボランティア活動を支援する団体がありますが、NICEが他団体と違うところは何だと思いますか?

職員と会員の距離が近いのはNICEの特徴だと思います。また、28年間で構築されたネットワークもNICEの強みだと思っています。多くの方々の協力もあり、たくさんの活動場所を持つことができています。

 

―ワークキャンプではどのような場所に滞在するのですか?

滞在場所は学校の空き教室やお寺、ホームステイなど様々ですが、基本的にワークキャンプ参加中は現地の住民の方と同じ生活レベルで過ごすことになります。ホテル滞在だとどうしても住民の方との間に壁ができてしまいます。ワークキャンプは観光ではなく実際に住民の方と一緒になって活動することが目的ですから、生活を共有することは活動の上でもとても大切なことなのです。

 

―人気のあるプログラムはどういったものですか?

教育や環境に関するプログラムは人気があるように感じます。最近は世界情勢も関係しているのか、難民支援に関するプログラムも応募が増えてきているようにも感じます。

 

―ボランティアやワークキャンプに実際に参加することで得られるものは何だと思いますか?

今の世の中なら、社会問題に関する情報は簡単に集めることができると思います。しかし、実際に現地に行って、見て、知ることはその何倍もインパクトがあります。直接経験することでしか得られない感覚もありますし、社会問題を自分のことのように感じることができるのはワークキャンプに参加する大きなメリットだと思います。

2. 海外派遣事業部部長を務める岡田さん

 

「国の違いは関係ない」ボランティア活動との出会い

 

―岡田さんが初めてボランティア活動に興味を持ったきっかけを教えてください。

大学生の時、アメリカに留学していたのですがその留学中に日本で東日本大震災が起こりました。自分もなにかしなくては、と思い留学先のアメリカの大学で焼き鳥を作って売りました。その売上金を寄付したのが初めてのボランティア活動だったと思います。この時、ボランティア活動に国の違いは関係ないと感じたのを覚えています。

 

本当にやりたいことを

 

―NICEで働くことを選んだ理由はなんですか?

NICEを知ったきっかけは、大学卒業間際に友人に誘われてフィリピンで給食作りの手伝いや子供たちとの交流活動を行うNICEのプログラムに参加したことです。昔から民間企業に就職する将来が何となく想像できず、大学院卒業後に「自分が本当にやりたいことができる場所に就職しよう」と決心し、ちょうど求人が出ていたこともありNICEに就職することになりました。

 

―岡田さんの夢や今後やりたいことを教えてください。

大学や大学院で国際協力や国際開発について勉強していたので、自分が学んできたことをNICEでの仕事に繋げていきたいです。また、より多くの日本人がボランティア活動に積極的に参加してもらうことを目指して頑張っていきたいですね。

 

―ありがとうございました。

【プロフィール】

岡田 守弘(おかだ もりひろ)

 

1990年、愛知県生まれ。名古屋外国語大学在学中、アメリカへの交換留学をきっかけに、国際協力やボランティアに興味を持つ。帰国後1年間休学をし、デンマークのフォルケホイスコーレで国際問題について学び、国内ではボランティア活動に参加。大学卒業間際にフィリピンのワークキャンプに参加。卒業後、名古屋大学大学院国際開発研究科で国際開発学を専攻。ガーナで聴覚障害者の特別支援教育やインクルーシブ教育について研究。修士号取得後、NICEにて現職。