【ファミリーボランティアの事例紹介⑧スポーツイベントの運営のお手伝い】

 日本財団ボランティアセンターは、ボランティア活動とのマッチングやセミナー・イベント、そして仲間とのつながりを通じてより充実したボランティアライフをサポートするプラットフォームサイト「ぼ活!」を運営されています。

 https://vokatsu.jp/

 その中で親子が参加できるプログラムの普及に力を入れておられる事業部マネージャーの園部さやかさんと、豊永はるかさんにお話を伺いました。

Q.親子参加型のプログラムを普及されているのはなぜですか?

 一つは、海外の文献を通して、ボランティアを始めるきっかけに両親がやっていて、一緒に参加するというケースが多いということを知ったからです。

 もう一つ、20代から40代前半のボランティアが少ないという課題があります。それは仕事が忙しかったり、子育て中なら子どもを置いて自分だけ行くのも難しかったりというのがありますよね。それなら、自分の好きなボランティア活動に子どもも連れていければいいのではということで親子ボランティアを推進しています。

 

Q.実際、どのような活動をされているんですか?

 私たちが提供するボランティア活動は、イベント型のものが多いのですが、その中でもスポーツイベントの運営のお手伝いのものが多いです。

 代表的なものは、お台場や千葉のいなげの浜で実施されているジャパンビーチゲームズ®フェスティバルです。ここでは海や砂浜を舞台とした様々なスポーツが行われるイベントなのですが、そこでのビーチクリーンやビーチバレー、モルックなどのお手伝いなどが主な活動です。もちろん、自分たちも体験してもらっています。

 実際、子どもたちにとっても一日楽しめますし、「親子の楽しい思い出ができた」ということで、リピーターも多いです。

 

 ただ実際のところ、親子ボランティアはそんなに多くの応募があるわけではありません。今まで一番多かったのは、今年(2023年)の3月に行われたワールド・ベースボール・クラシックの時で、約40組の親子が参加しました。

 https://vokatsu.jp/journal/20230406-3

 もちろん応募の母数自体もすごかったのですが。

©日本財団ボランティアセンター
©日本財団ボランティアセンター

Q.親子での参加を受け入れる際に気を付けておられることはありますか?

特別なことは何もしていないということを売りにしています。(笑)

参加された親子の方からは、「子ども向けの企画が何もないんだ」と驚かれることもありますが、基本的には子どもでもできることを基準に活動を選んでいます。

もちろん、現場では子どもの体力に気を配ったり、飽きていそうなら別の作業を振ったり、子どもたちが活躍できるようにしたりはしていますが、子どもを特別扱いはしていないですね。

 

Q.どんな成果やインパクトがあると思いますか?

 お互いに普段見ない姿を発見できるということがあります。「お父さん、お母さんは社会でこんなことをしているんだ」と、子どもが親のことをカッコいいと感じる一方で、子どもが他の人とちゃんと話している姿に、親が感動することもあります。子どもにとっても、活動する中で親や先生以外の大人と接するのは、キャリア形成の上で非常に有意義でしょう。

 また、運営側からの評価としても、「子どもがボランティアとして活動していると、その場が優しい雰囲気になる」「子どもの前でみっともないところを見せられないと思うのか、年配のボランティアの動きが良くなる」といった多世代が参加することの意義を強調されるものが多いです。

©日本財団ボランティアセンター
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Q.今後、親子参加型の活動を広げていくのに課題はどこにありますか?

 親子が参加できそうな活動を見つけて、親子受け入れを打診しても、難色を示される場合もあります。

 子どもまで受け入れる運営上の余裕がないのかもしれませんが、スポーツイベントならそのスポーツの新しいファンを獲得できるチャンスなのにもったいないと思います。

 

 もう一つは、「親子でボランティア活動に参加する」ということが日本ではあまり一般的ではないのも大きいかもしれません。参加したあるお母さんは、知り合いから「(休みの日の使い方として)変わっているね」と言われたと仰っていました。

 

 広げていくための工夫としては、スポーツイベント以外の活動メニューを増やしていきたいと考えています。例えば、日帰りでの農業などですね。

 また、定期的に募集しているビーチゲームズ®フェスティバルでも小学4年生から中学3年生までという年齢制限をもう少し広げたらいいのではと考えています。

 体力的なことは考慮しないといけないですが、小学校低学年の子どもの方が、親と一緒に出掛けることに抵抗がないでしょうから。

 

 

 いずれにせよ、私たちも親子参加型の活動の推進を細く、長くしていこうと考えています。

©日本財団ボランティアセンター
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