ボランティア活動というと、前回紹介したワークキャンプのように外に出て行うというイメージがあります。また、「自分たち以外の誰かのために」するのが一般的でしょう。ただ、災害対策や防災に関しては、災害ボランティアに行く前に何よりも自分たちの生命や財産を守るというのが第一です。
そこで今回は、「家族でできる災害への備え」について、30年以上災害救援活動や地域防災にかかわってこられた国際ボランティア学生協会(IVUSA)理事で、せたがや防災NPOアクション代表も務める宮崎猛志さんにお話を伺いました。
Q.災害に備える際に注意することはどんなことでしょうか?
日本では4つの大陸プレートが交わっており、有感地震が年約1,300回起きます。さらに年平均2.6個の台風が上陸します。このように大前提として、日本で生活していくということは、誰も被災者になるというリスクを受け入れていくということをまず認識する必要があります。
一昔前は、災害が起きると避難所に行くと考える人が多かったですが、最近では「在宅避難」ということが強調されています。「在宅避難」とは、災害が発生した際、自分の家で身の安全が確保できるなら、避難所に向かわずそのまま自宅で避難生活を送る方法のことです。災害が起きた時、避難所に向かう途中にも当然リスクはありますし、何より避難所での不自由な集団生活による精神的な負担を考えれば、自分の家でプライバシーを確保しながら生活したいでしょう。
ただ、在宅避難は最近始まったことではなく、1995年の阪神淡路大震災でも神戸市の人口が150万人でしたが、そのうち自宅以外の避難所で生活した人は約30万人と言われています。つまり、5分の4の人は発災後も自宅で生活していたことになります。
今は、避難所では「特別な支援が必要な人のための拠点」になりつつあります。
Q.在宅避難には何が必要ですか?
ぜひご家族で以下のような点について話し合い、準備をしていただきたいです。
1. 家具の転倒防止
もちろん耐震補強工事も必要ですが、比較的ローコストでできるところからやりましょう。
2. 非常食の準備
一年に一回、イベント的に非常食を食べる機会を設けてもいいと思います。普段から少し多めに食材、加工品を買っておき、使ったら使った分だけ新しく買い足していくことで、常に一定量の食料を家に備蓄しておくローリングストックもぜひ実践しましょう!)
3. ハザードマップのチェック
最近はマップの精度もあがっており、ネットでも確認できます。自治体によっては防災アプリを出していますので、ぜひインストールしましょう。
4. いざというときの連絡手段の確認
固定電話を引いていないご家庭も増えていますが、災害用伝言ダイヤル(171)の使い方を確認したり、携帯電話も使えなくなった場合も考えて待ち合わせ場所を決めておいたりしましょう。
5. 水・トイレ・電気の確保
大きな地震では電気が復旧するまでに時間がかかるかもしれませんし、復旧したとしても計画停電は避けられないでしょう。モバイルバッテリーなどでどうやって電気を確保するかは考えておく必要があります。
チェックシートも紹介します。
Q.災害が起きたあとはどんな活動が求められていますか?
災害からの復旧・復興においても、子どもたちでもできることはたくさんあります。例えば、避難所の運営のお手伝いや被災した家の片付けや泥だしなどです。特に少子高齢化が進む地方では、若い世代はとても貴重な戦力なのです。
具体的にできることについては、私たちが子どもゆめ基金の助成を受けて作成した「これなら、デキる!!できることから始める!ボクたち、ワタシたちの『減災アクション』」というウェブ教材をぜひご覧ください。