【ファミリーボランティアの事例紹介⑤ NPOアジア人文文化交流促進協会】

 NPOアジア人文文化交流促進協会(Japan Intercultural Intelligence)は、外国人住民が地域に住む日本人ボランティアとペアを組み、一対一の交流を通じて、日本での生活に慣れ、

地域や文化、習慣になじみやすくするためにサポートする「Otonarisan (おとなりさん)・ファミリーフレンド・プログラム」(略称:OFP)を2020年から展開しています。

 家族ぐるみでの交流も多いこのプログラムについて、理事・事務局長の楊淼さんにお話をお伺いしました。

Q.OFPが始まったきっかけを教えてください

 私自身も外国人なのですが、日本に住んでいる外国人が生活していくうえでとても欠けているのは「日本人とのつながり」で、多くの外国人は、職場や学校における人間関係が限定的です。自分の実体験からも分かりますが、人間関係が豊かになっていくと、生活全体の質は上がりますし、特に日本社会への理解には多様な日本人とのかかわりがとても重要です。

 また、外国人が日本に来て困ることは、日本での生活経験やバックグランド知識のなさが原因である場合がほとんどです。逆に言えば、生活経験の豊富な日本人が手伝ってもらえることができれば困りごと大部分は解決できます。

 

 そこで外国人が日本人や日本社会と付き合う双方の経験値を増やしていくこのプログラムを2020年に始めました。新型コロナウイルス感染症が大変な時期だったのですが、2020年は外国人・日本人合わせて30人くらいだった新規申し込み者が2021年には220人、2022年は600人とどんどん増えています。特に広報しているわけではないのですが、ネットでの検索や口コミで広がっていきました。

 

Q.どのようにペアを組むマッチングをされているのですか?

 申し込みしてくる外国人は、大体4割が子育て家庭で、3割が子どもはいない、働いている方です。残りは学生、少しだけ自営業の人と、避難民の人もいます。

 日本人ボランティアの方は会社員が圧倒的に多いです。他にはシニアの方、主婦、大学生、高校生もいます。「困っている外国人を助けたい」という方が一番多いですが、「異文化交流に関心がある」「視野を広げたい」「子どもに外国人と接する機会を作りたい」といった目的で参加される方も多いです。

 

 申し込みをされた方に対しては、一人20分~30分くらい時間を取って、ニーズ・家族構成・言語レベル・生活スタイルなど詳しく聞いてます。例えば、外国人の親子が参加してくる場合、日本人ボランティアが学生や独身者だと難しいので、年齢の近い子育て世代をマッチングするようにしています。子育て家庭同士だと、一緒に公園で遊んだり、買い物に行ったり、お弁当作りを教えたり、学校のことを相談したり、プリントについて説明したりと、家族ぐるみの交流になることが多いですね。子どもたち同士が仲良くなって、そこは「ファミリーボランティア」と言えるのではないでしょうか。

 

 

JAVE理事の福島もOFPでインドの方と交流をしていました
JAVE理事の福島もOFPでインドの方と交流をしていました

このように安心して継続的な関係性を作るために、機械的にマッチングすることはできないので、かなりきめ細かく対応するようにしています。当然、日本人ボランティアの数の方が多い必要があります。現在は、日本人と外国人の申し込み者の割合が、1.7:1くらいですが、それでも外国人の方で待機してもらっている人もいます。

 

 最初の頃は、一人ひとり日程調整してヒアリングしていましたが、さすがにそれでは対応できない人数になってきたので、説明会をしてその後個別にヒアリングするように運営の改善も重ねてきました。

 

 プログラムの期間としては半年で、その期間は毎月事務局からアンケートを送って活動状況をモニタリングしていますし、場合によってはサポートに入ることもあります。

Q.プログラムの成果としてはどのようなものがありますか?

 参加された方の声はホームページを見てください。

 https://j-ii.org/otonari-san/ 

 アンケートでは、「こんないい人に出会えてとてもうれしい」「直接、日本人とかかわっていろんなことを教えてもらえた」といった感想がありますが、その中でも印象的だったのが「日本人に声をかける勇気が出た」というものです。

 日本人に関する断片的な予備情報(「例えば、日本人は本音を言わないとか、」とか)が多すぎて、なかなか人間関係ができなかったのが、おとなりさん(日本人ボランティア)を通じて理解し、通じ合った実感を持てたと言われるのはうれしいです。

 一方、おとなりさん(日本人ボランティア)からは、「外国人は実際何に困っているかがよく分からなかったが、役に立ててよかった」「ステレオタイプの印象しかなかったが、リアルに外国人と関わって見方が変わった」という話をよく聞きます。

 このプログラムの重要な点は、「利害関係も上下関係もない斜めの人間関係」を構築することです。例えば、会社で悩んだり、理解できなかったりすることがあっても直接上司や同僚とかに聞きにくいことがありますよね。そんな時、「おとなりさん」の日本人ボランティアに気軽に相談できるというチャンネルがあるのが大切です。愚痴を聞いてもらうだけでも精神的な支えを得ることができます。

 

「支援する・支援される」という一方通行の関係性だと長続きしません。おとなりさんペアは平等で助け合いの信頼関係を築き、プログラムが終わったあとも友人として関係が継続していってくれることを願っています。

Q.今後のOFPの展開に関してはどのように考えておられますか?

 外国人が日本に暮らす際の生活インフラとして全国的に展開して、外国人が日本に来たらすぐに「おとなりさん」を見つけられるようになるのが理想ですね。さらに日本語支援や、子育て・教育、就職、定住に必要なサポートといった別の機能も付け加えて、機能を充実していくことも検討しています。今も外国人が企業で安心して働けるよう、本人やその家族に対して生活全体のオリエンテーションを行う事業も実施しています。ただ、これらは当然有料のサービスになります。

 実際、OFPを広げていく際のボトルネックは活動資金なので、安定的に資金を確保していくことが今の課題ですね。

 

【参加を希望される場合は以下のページから】

 外国人参加者の方→ https://j-ii.org/otonari-san/ofp-participate/

 日本人参加者の方→ https://j-ii.org/otonari-san/#vol