12月5日、国際ボランティアデーを記念して、ボランティア団体「WiSH」と共催でファミリーボランティアについてのオンラインワークショップを行いました。米国の非営利団体「Doing Good Together」代表のミアリサ・マクファーランド・ミラレス氏から、講演いただきました。講演では、非営利団体の取り組み、ファミリーボランティアのメリット、家族で今日から始められるボランティアのアイデアなど広くお話を頂きました。
以下は、講演内容を編集、一部割愛しお届けします。
1.非営利団体「Doing Good Together」とは
「Doing Good Together(以下DGT)」は、ジェニー・フリードマンが地域社会のニーズに応えるため、20年ほど前に設立した非営利団体です。DGTの使命は、家族をエンパワーし、思いやりの心を持ち、社会に貢献する子どもどもを育てることです。
DGTには、この使命のもと、取り組んでいる4つの基本プログラムがあります。
①1つ目は、「ボランティアのリスト」です。私たちは家族向けのボランティアをリスト化し、家族向けにボランティアの機会を提供しています。(個人の)ボランティアの機会を見つけるのは簡単ですが、家族のための機会を見つけるのは容易ではありません。私たちは、忙しいご家族が世代を超えたボランティア活動に専念できるよう、リストを提供し、ボランティアの機会を探す手間を省くよう努めています。
②2つ目のプログラムは、「目的を持った育児」です。私たちのウェブサイトには、日々の習慣を育てたり、一緒に本を読んだりするためのタブがいくつかあります(マインドフルネス、感謝、社会正義のトピックなど、優しさにまつわる時事的な問題に焦点を当てた本のリストもあります)。ここでは、親が適切な本を探す手間を省くことを目的としています。親はこのページにたどり着き、自分の家族に合う本を何冊か見つけることができます。さらに、親が子どもと一緒に、ある問題についての有意義な会話を始められるよう、会話のきっかけを作ることもできます。赤いタブの「一緒に考える」(https://www.doinggoodtogether.org/bhf/practice-kindness)では、さまざまなトピックについて家族で子どもと一緒に考えるのに役立つ印刷マテリアルをいくつか用意しています。最後に、青いタブの「プロジェクトを選ぶ」には、家族で子どもと一緒にできるさまざまなボランティアプロジェクトについての情報を掲載しています。ご家庭で見つけたリソースを使って何ができるか、アイデアをお探している場合に活用できます。このプロジェクトの一環として、幼児教育のスペシャリストにブログを書いてもらい、毎月ニュースレターを発行しサポーターの皆さんにお届けしています。
③3つ目のプログラムは、ファミリー・サービス(ボランティア)・フェアです。私たちは、グループ(信仰共同体、学校など)が一度に複数の異なる種類のボランティア事業を体験できる機会を設けています。通常、4~12のブースやステーションを設けます。これらのステーションは、家族で一緒にボランティア活動を行う機会です。これは、子どもたちにとって、多くの場合社会への貢献に初めて触れる機会となります。私たちは、若い参加者にインスピレーションを与えるため、団体にも裨益するさまざまなプロジェクトを提供するようにしています。
④4つ目のプログラムは、パートナーからのリクエストに応える形でプロジェクトを行っています。
2.共感と優しさに関する研究
DGTは、共感と優しさに関する興味深い研究に基づいて設立されました。現在、共感力や他人の視点から世界を見る能力は、あまりにも乏しくなりつつあります。ミシガン大学が30年間にわたって1万4千人の大学生を対象に行った研究によると、共感力は20~30年前に比べて40%も低下していることがわかりました。 サラ・コルノスは数年前に追跡調査を行い、共感力は回復したと発表しました。しかし、その研究はパンデミックを含んでいませんでした。つまり、これらの研究から私たちは、共感はその人にとって何が起こっているか、世界で何が起こっているかによって、浮き沈みする可能性があることがわかりました。
また、セサミワークショップは、非営利団体です。2016 年に、彼らは「K is for Kind (Kは優しさ(Kind)のK)」という優しさと子どもに関する全国調査を実施しました。その結果は興味深いものでした。親の 75% と教師の 80% が、「子どもが自分自身よりも他人への思いやりと公平さを優先しないと、残酷さ、無礼、不誠実さ、不正行為など、多くの有害な行動へのハードルが低くなる」と懸念していることがわかりました。世界は子どもにとって不親切な場所になっています。親の 75% が学業成績よりも優しさを優先しており、また教師は生徒への共感が薄れてきていると述べています。
そして、ハーバード大学が発表した 「思いやりをわかちあう(Making Caring Common)」という調査があります。この調査でも、お金や成功よりも思いやりのある子どもを望んでおり、優しさを最優先事項としており、米国の親は、子どもたちに何よりも優しくあってほしいと望んでいることがわかりました。
一方で、調査対象となった若者の大多数は、親が成績を最優先に望んでいると考えており、親が実際に望んでいることと、子どもが考える親の望みが乖離していることがわかりました。DGT では、このようなギャップが生まれる背景は、親が子どもの帰宅後に「学校はどうだった?」、「テストはどうだった?」、「数学の授業はどう?」などと尋ねるからであると考えています。では、どのように優先順位を付けて、社会への貢献や親切も非常に重要であり、学業や幸福と密接に関係していることを子どもたちに示せばよいのでしょうか。
私たちは、家族レベルの優しさの実践とボランティア活動によって得られる力を受け入れることによって、このギャップを埋めることができると信じています。これまで、家族によるボランティア活動は、非公式に、そして場合によっては公式に、非常に長い間行われてきました。ファミリーボランティアは、新しいアイデアではありませんが、ボランティアプログラムに頻繁には組み込まれてはいませんでした。
3.ファミリーボランティアの重要性
ファミリーボランティアは、子どもたちに優しさ、共感、思いやり、寛大さなどの重要な価値観を伝えることができます。また、家族という文脈で、実体験を通じ、子どもたちは責任を与えられ、問題解決、解決策に向けて働きかけることを通じて、変化をもたらすことができると知ることができます。ファミリーボランティアの参加者からは、「私の子どもたちは、「火災にあったコミュニティを支援する」と言った1週間のボランティア活動から、私が10 年間、教会の日曜学校で教えられる以上のことを学びました」という声が聞かれました。
ファミリーボランティアが家族に対してもたらす利点
ファミリーボランティアは、まず質の高い家族の時間となり、忘れられない思い出となります。また、ボランティア活動は、家族にとってポジティブな究極的マルチタスクであると思います。ボランティアを行いながら、子どもたちに大切な価値観を共有し、コミュニティにとって価値のある活動を行いつつも、家族にとってのよい思い出ともなるからです。
ボランティア活動を通じて人々に共感することは、特権意識、物質主義と自己関与という絶え間ない社会のメッセージに対する解毒剤となりえると思います。一方で、私たちは、孤立した高齢者と笑顔を共有すること、豊かさを共有すること、または単にお互いから学ぶこと等、常に何かを与えることができます。子どもが健康上の問題を抱えている他の子どもを助けたり、ホームレスや孤立に対処している子どもを助けたりすることで、自身今持っているものへの感謝の気持ちが高まります。
ファミリーボランティアで、会話が弾み、家族の絆が深まり、家族が一丸になります。活動に参加しなければ、実現しなかったであろう、子どもたちとの有意義な会話があると思います。共通の利益に貢献したり、食糧難に苦しむ人々を助ける最善の方法を一緒に検討したりすることそのものはとても重要なことだと思います。
また、ファミリーボランティアは、寛大さと与えることの生涯にわたる習慣を養います。これは、小さなプロジェクトが大きな違いをもたらす、優しさの波及効果です。一緒にボランティア活動を行うことで、子どもたちは大切にされていると感じ、新しいスキルを習得し、人生について学び、職場をより現実的に捉えることができます。さらに、ボランティア活動は人々を幸せにし、健康にすることもわかっています。自分の子どもにそれを望まない人がいるでしょうか?
ファミリーボランティアがコミュニティにもたらす利点
ファミリーボランティアは、コミュニティの実際のニーズに応えております。そのため、最良のファミリーボランティアは、子どもたちを活動に参加させ、仕事を与えることだけではなく、実際のコミュニティのニーズに対応する活動であり、実際に子どもたちは、孤独との戦い、飢餓への給食、地球の癒しなど、実際の地域社会のニーズを満たす一助となる、意義深い活動に参加しています。
また、レジリエンス(回復力)という観点からも、ファミリーボランティアは有益だと考えます。ボランティア文化が根付いた地域社会、ボランティアや非営利団体の数が多い地域は、不況や自然災害を含む困難な状況からの回復が早いとされています。子どもたちにボランティアを奨励し、地域社会の幅広い層と関わるようにすればするほど、子どもたちは異なる人々とのつながりを感じながら成長するでしょう。私たちは自分の殻を破る必要があると思います。そうすれば、年齢から人種、性別まで、違いに関する固定観念に縛られる余地は少なくなるでしょう。
4.実際にファミリーボランティアプログラムを提案する
プログラムを構築する際に考慮すべき機会には、①与えることを習慣化する、②現場での活動の機会を作る、③家庭において有意義なプロジェクトを実施する、の3つのポイントを考える必要があります。
① 与えることを習慣化する
ボランティアを一度だけの機会としてではなく、何度も何度も与える機会を作り、習慣化することです。いくつかの例をご紹介します。
まず一例として、「フード・パントリー(食料配給所)のスポンサーとなる」ことです。食糧配給所から必要な品物のリストをもらい、それを必要としている人々に配給するというものです。買い物をするときに、品物リストにある商品を購入し、毎月、あるいは毎週、家族単位で実行できるものです。
もう一つのアイデアは「Color a smile(笑顔を彩る)」。これはアメリカにあるものですが、日本にも同じような団体があるかもしれません。子どもたちは、近所のお年寄りや友人等の励ましや日常において明るさを必要としている人たちに絵を送ることができます。子どもたちは、とても美しい絵を描くことができます。私の3人の子どもたちが描いた絵を、それを必要としている人に届けます。これには、余分な時間も努力も必要ありません。受け取る人の心の琴線に触れ、とても意義深い物となります。
また、「マジック・メール・センター」というアイデアもあります。私は、子どもたちが人々を元気づけるカードや手紙を作るのに必要な材料の入った箱、マジック・メール・センター(魔法の手紙センター)を各世帯に作ることを勧めています。手紙の宛先等のラベルの書かれたフォーマットを用意しておくことで、子どもたち自ら、これら宛先に、作ったカードを自ら送付することができます。こうした、手軽な機会を用意することを通じて、家族が一緒に何かをすることができます。
② 現場での活動の機会を作る
私が地域社会にアドバイスしていることのひとつは、家の外で人助けをする機会を見つけることです。アメリカでは、近所の掃除をすることがよくあることです。私は日本に行ったことがありますが、すべてがきれいで清潔で、人々がゴミを持ち帰ったことを覚えています。ですので、そのような場合は、コミュニティにある土地を利用して、コミュニティガーデンや、原生している花や木を植えること、地域の人々がより利用しやすいようにコミュニティスペースを整備することも含まれます。
プレゼントボックスを作成と設置は、小さな子どもたちに勧めている昔からの伝統的なアイデアのひとつです。箱は貯金箱のようなもので、子どもは箱に小銭やお金を入れ、その寄付金の行き先を決めます。地域の高齢者を助けるため、貧困状態にある子どもを助けるため、絶滅の危機にある動物のため、食糧難を救うため等、子どもたちが自分の意志で決定します。
アメリカの祝日を利用したボランティア活動もあります。一例として、ハロウィーン、感謝祭、冬休み、バレンタインデー、誕生日等、日本の祝祭日とは少々異なると思いますが、祝日は家族が集まる機会です。その中で、人々が熱中する祝日を見つけ、家族で集まれば、地域社会に恩返しができることになります。また、それを実現する方法を考える機会ともなります。
③ 家庭でのプロジェクト
DGTのウェブサイトでは様々な家庭でできるプロジェクトを紹介しています。例えば、食料配給所のランチバックの飾りつけ、近所の人たちや、大切に思っている人たちに何かを作ったり、貧困にあえぐ人たちにサンドイッチを作って提供したり、声を上げることの大切さを教えたり等です。これら各世帯で行い習慣化されたことは、家の外でボランティアを行う際に役立ちます。
私たちのウェブサイトには、シンプルで簡単な方法で社会に貢献をする方法を紹介する素晴らしいリソースがあります。「親切の夏バケットリスト」はその一例です。とてもシンプルな方法をご紹介しておりますが、それらを実践することで、子どもたちの共感力を鍛えることができるのではないかと思います。親御さんは、ウェブサイトの資料を利用することで、準備のための手間を省くことができます。社会に対する貢献のエネルギーは、家族の関心を集め、家族を一つにし、家族のボランティア活動を前進させ、ボランティアを習慣化するのに役立つでしょう。
5.リフレクション(活動のふり返り)の大切さ
ボランティア活動の最も大切な要素は、リフレクションです。どのように、そしてなぜ、より深いふり返りを促すかという点を考えることは重要です。家族で参加できるボランティアのために活動の選択肢を作るという素晴らしい仕事をしている団体もあるものの、ボランティア活動にリフレクションと学びを組み込んでいるところは多くありません。ボランティア活動は、真の学びの機会であるため、ふり返りがないことは、機会損失です。
リフレクションの利点
① 子どもたちのスキル向上
リフレクションは、子どもたちにスキルを教えるのに役立ちます。リフレクションは、継続的対話を促し、子どもたちの問題解決能力の向上に役立ちます。組織に対するコミットメントと知識が高まります。
② 組織・活動へのコミットメントの向上
リフレクションにより、家族の体験が深まり、最終的に活動への参加とコミットメントが高まります。リフレクションは家族が団体の活動や使命の影響を真に理解し、献身的な活動を続ける助けとなり、潜在的に寄付者となってくれる可能性が高まります。
③ 団体のキャパシティの拡大
団体の組織全体が能力向上の恩恵を受けることになります。経験をふり返ることで、何がうまくいっていて何がうまくいっていないのかについて貴重なフィードバックを得ることができ、プログラムを強化し、活動全体の影響力を向上させることができます。
リフレクションが重要な理由
① 切迫感/危機意識を生み出す
ある問題について考えることは、子どもやその家族が変化を起こそうという意欲を維持するのに役立つでしょう。自分のプログラムが取り組もうとしている課題を熟慮し、影響を受けている人々に共感することで、変化をもたらすために一歩踏み出すことが、より切迫したものに感じられるようになります。
② オープンで継続的な対話
家庭での思慮深いリフレクションは、家族との対話をオープンにし、継続させます。リフレクションは、家族にとっても経験を深め、最終的には活動への関与とコミットメントを高めます。さらに、家族が自分たちの体験をふり返ることで、新しいボランティアプロジェクトやアドボカシー活動に取り組むきっかけを発見することもあります。
リフレクションが重要であることは述べた通りですが、では各世帯でどのようにリフレクションを行うのでしょうか。すべてのボランティア活動は素晴らしいものですが、トピックをふり返り、再確認することも非常に重要です。私たちは皆、ある情報を定着させるためには、何度も聞く必要があることは周知のとおりです。
そのため、ボランティア活動を学びと結びつけることが重要です。最も簡単な方法は、読書、素晴らしい夕食の会話、そして教えられる瞬間を利用することだと思います。また、リフレクションは何度か行うべきで、まず、何が起こるかについてボランティア活動前に行い、ボランティア体験中に現場で、そして活動が終わった後、家族が家庭で学びを継続するため行うのがよいと思います。
また、私たちはお勧めの本のタイトルを1~2冊提供し、家族で読書をするよう奨励します。活動を関連がある読書リストが提供する他、会話の端緒となりうる質問集等の資料も提供しています。研究によると、すべての読書愛好家は、読書が世界に対する共感、思いやり、洞察力を養う素晴らしいツールであることを本能的に知っていたことを証明しています。DGTは、ほとんどの家庭で利用できるボランティア体験に関連するタイトルのリスト、無料で印刷できるディスカッションの質問集を提供しており、それらを利用することで、ちょっとした家族読書会のひとときに変えてくれます。そして、他にも年長の子どもが会話をリードし、一人ひとりに体験をふり返ってもらうための印刷可能な資料も用意しています。
その他、DGTのウェブサイトでは、家族への親切な行動を簡単に実行するための「親切カード」、家庭でより深く話し合うための、問題に基づいた振り返りツール、子どもたちが定期的に参加できるような「親切をゲーム」等の印刷可能な資料を提供しています。
DGTは、ボランティア活動の端緒として、家族に対して、人への親切、家庭でのボランティアから始めること、施設外でのボランティアを通して社会に対して貢献をすることを推奨し、家族にとってふり返りが容易になるように整えつつ、これらを定期的に生活に取り入れられるようにサポートしています。
6.質疑応答
アメリカにおいて、ファミリーボランティアはよく行われているのでしょうか。
以前はそれほど一般的に行われていませんでした。ここ、十数年の間により広く行われるようになり、DGTの活動がファミリーボランティアの広がりに貢献する一助となったことを大変喜ばしく思っています。しかし、一方で、まだまだ改善しなければならないことも多いと考えています。人々は、子どもが果たす役割を過小評価しているからです。実際は、子どもたちは大きな助けになっています。
DGTがファミリーボランティアを行うきっかけ、インスピレーションは何だったのでしょうか。
創始者であるジェニー・フリードマンが団体を始めたのは20年前ですが、彼女のモチベーションが団体の出発の起点でした。彼女が周りを見回した時に、家族のためのものはなく、家族のために何かやるべきであると思い立ちました。彼女がこの活動を始めた時には、彼女はこの活動を彼女自身の子どものために始めたいと思いました。この分野で活動している団体は私たちだけでしたが、次第に同様の活動を行っている団地が出てき始めました。「親切」や「思いやり」は私たちの「独占」ではありませんので、良い傾向であると思いました。
発表者であるミアレスさんが、ボランティアを続けていく動機は何でしょうか。
私の活動の動機は、私自身の子どもです。私には5歳、9歳、12歳の子どもがいますが、子どもたちにはもっと優しい世界で育ってほしいですし、自分たちが世界に影響を与えることができるということを知ってほしいと思っています。子どもたちが、自分には善をなす力があることを知ることは、とても大切なことだと思います。それが、私が自分の子どもたちを育て続ける動機です。そして、私が前職において、子どもたちに教えてきたことや、現職においても子どもたちが引き続きこの仕事に対する私の情熱を知り、またこの仕事に対して彼ら自身の情熱を育めること、そして彼らの善意が世界に影響を与えることを願っています。
忙しい現代社会において、ファミリーボランティアを推奨することは容易ではないと思いますが、推奨していくノウハウはあるのでしょうか。
非常に実用的なアドバイスが2つあります。1つ目は、人々は家族でボランティアをする際、大きなプロジェクトをやらなければならず、小さなことから始めてはいけないと考えがちです。ですが、今すぐ、今日から始めましょう。そして、小さなことから始めれば、何らかの影響が見られ、子どもたちはそれを気に入って、またこれをやりたいと言うでしょう。ですから、時間があるときに小さなことから始めることが鍵だと思います。
2つ目はカレンダーを活用することです。私は3人の母親で、 2つの仕事をしており、大変忙しく、そのスケジュール管理にはGoogle カレンダーを使用しております。私のカレンダーは、とても彩鮮やかです。子どもたちと一緒に何か前向きなことをしたい時間を書き込んだり、ブロックしたりして、Google カレンダーを有効に活用しています。カレンダーに予定を入れておくと、必要な時間を確保するのに役立ちます。他の人に「申し訳ありませんが、予定があります」と言うことができます。先ほど申し上げましたが、小さなことから少しずつ始めましょう。最初は月に 1 回、ほんの少しの時間から始めてください。それが価値あるもの、重要なものになってきたら、月に 2 回、毎週、毎日と増やしていくことができます。
生活に無理なく取り入れることができることのいくつかをご紹介します。例えば、私の子どもたちとは、夕食を食べる前に、本の一節を読んだり、その日のことを考えたりする時間をとっています。とにかく夕食を食べなければなりませんので、せっかく一同に会する時間があるのだから、それを生産的な会話に使ってみるのはどうでしょうか。同様に、あなたがすでにやっていることを活用して、それを一石二鳥となるように利用します。共に過ごす夕食の時間、子どもたちの送迎など。日本では電車を利用する人が多いのか、車で移動するのが一般的なのかわかりませんが、もしお子さんを車や公共交通機関で送迎したりするのであれば、その時間は誰かのために何かポジティブなことをする絶好のチャンスです。本当に忙しいと感じる家族が、気負わずに始められる方法だと思います。
どのようなパートナーシップの事例がありますか
私たちの目標や使命は、情報を発信することです。先ほども言ったように、私たちは営利を目的としているわけではなく、優しさを広めるためにやっています。例えば、ミネソタ・ペアレントとのパートナーシップがあります。この雑誌は育児雑誌なのですが、私たちがボランティアリストを出すと、彼らはそれをDGTのロゴとともにブログやソーシャルメディアに再掲載してくれるのです。彼らのおかげで、私たちはより多くの人に良いコンテンツを届けることができます。良いコンテンツを発信できる。つまり、私たちのパートナーシップは、互いに助け合い、協力し合い、互いのコンテンツを宣伝し合い、互いのオーディエンスにリーチしようとすることで、多くの場合、Win-Winとなります。
アメリカにおいて、ファミリーボランティアはそれほど一般的ではないという理解でよいのでしょうか
ファミリーボランティアは、ご想像通り、それほど一般的ではありませんが、ファミリーボランティアの普及は私たちが取り組んできたことであり、団体は子どもたちに機会を提供することに一層の関心を寄せています。しかしながら、13歳以上の子どもを対象にした活動は一般的ですが、4歳から12歳くらいの年齢層を対象にした活動を見つけるのが難しい現状です。子どもたちのボランティアを制限するガイドラインもあります。そのため、私たちは子どもたちが安全で有意義な活動に参加できるよう懸命に取り組んでおり、過去数十年でますます普及し始めています。
会話のフレーミング(基準/準拠点)を見出すことについて:
DGTでは、年齢を問わず、インパクトのある絵本で大きなアイデアについての会話を組み立てることをよくお勧めしています。今日も例外ではありません。ジョン・J・ムースの『ストーンスープ※』をご存じでしょうか?その一節を紹介します:
「お腹を空かせたよそ者たちが山を下り、下の村に向かうとき、ムースはこの情景をこう書いている:この村が幾多の苦難を乗り越えてきたことは、高いところからではわからなかった。飢饉、洪水、戦争によって、村人たちは疲弊し、よそ者を信用しなくなっていた。隣人を疑うようにさえなっていた...。村人たちは懸命に働いていたが、自分たちのためだけに働いていた。共同体であることをやめてしまう」
ここ数年、私たちが経験したさまざまな出来事によって、私たちのコミュニティはムートの物語に登場する村のように、互いに恐れ、疲れ、信頼し合っていないことがあまりにも多いのではないかと思います。私たちは隣人に対して疑心暗鬼になっています。なので、コミュニティを築き、親切を広め、社会に貢献することは、最優先事項だと思います。
しかし、一人ひとりが与えることのために耳を開くと、次の人がさらに与えた...。分かち合うことは、私たちをより豊かにします。
「村人たちの間で不思議なことが起こり始めた。一人ひとりが心を開いて与えると、次の人がさらに与えた。そうするうちに、スープはより豊かになり、よりおいしそうな香りがしてきた。村は石のスープの鍋を囲み、それぞれができることを出し合い、共同体としてまとまった。その夜、村の宴会はお祭りとなった。共同体の祭典。修道士たちが移動するとき、彼らは感謝の気持ちを分かち合った。「ありがとうございます。ありがとうございます」と村人たちは言った。分かち合うことが私たちをより豊かにするということを、あなたは私たちに教えてくれました」
※「ストーンスープ」Jon J Muth(ジョン・J. ミュース)
ポルトガルの民話、また北ヨーロッパでは石の代わりに釘など、似た民話はヨーロッパ各地にあり、他者から協力を得るための呼び水の比喩としても使われている。 飢えた旅人(修道士、老人とも)が集落にたどり着き、民家に食事を求めて立ち寄ったが、食べさせるものはないと断られてしまった。一計を案じた旅人は、路傍の石を拾うともう一度民家にかけ合った。「煮るとスープができる不思議な石を持っているのです。鍋と水だけでも貸してください」興味を持った家人は旅人を招き入れた。旅人は石を煮始めると「この石はもう古くなっているので濃いスープになりません。塩を加えるとよりおいしくなるのですが」と説明した。家人は塩を持ってくる。
旅人は同じようにして、小麦と野菜と肉を持ってこさせた。できあがったスープは見事な味に仕上がっていて、何も知らない家人は感激してしまった。旅人はスープのできる石を家人に預けると、また旅立っていった。
参照
Doing Good Togetherウェブサイト:https://www.doinggoodtogether.org/
Sesame Workshop Kは優しさのK:https://sesameworkshop.org/resources/the-kindness-study/
ハーバード大学教育学部:Making Caring Common Project「」:https://mcc.gse.harvard.edu/