オランダのボランティア活動(EU国別レポート日本語訳)

成熟した市民社会のモデルであるといわれるオランダにおける、ボランティア活動の概要をまとめたレポートを紹介します。

(本項は「Study on Volunteering in the European Union Country Report Netherlands」を翻訳したものです。)


これは、35ページ8章からなるレポートは、2008年に欧州委員会(European Commission)によって発行された欧州連合におけるボランティア活動の国別レポート。

 

やや古いデータですが、ボランティアを全体的に俯瞰するオランダでのボランティア活動に関する一般的な情報、制度上・規制の枠組み、ボランティア活動の経済的、社会・文化な側面、教育・トレーニングという文脈でのボランティア、政治へのインパクト、そして課題について簡潔にまとめられています。

 

このレポートから、オランダのボランティア活動の変遷や傾向、法整備、経済的インパクト、若者のボランティアへの関わり方を抜き出しまとめました。

 

 

オランダのボランティア活動の変遷

 

オランダのボランティア活動の歴史的発展は他の西欧諸国と似ており、孤児、病人、精神的疾患のある人たちのケアは、中世から近代にいたるまで多くは教会が担い、そして後に行政が担うようになりました。

 

20世紀に入り、人々の生活が向上するとボランティアに参加する人たちの層に顕著な差が見られなくなりました。第二次世界大戦後から1966年にかけて、オランダは福祉国家として医療制度はより専門的かつ包括的になりました。ケアサービス従事者はそのための特別なトレーニングがなされ、これまでボランティアの手で行われてきたケアは有給職員にとって代わられるようになりました。

 

1965年以降、新しいタイプのボランティア活動が現れました。この活動は、制度化された福祉システムへの批判とも結びついた「反対」運動の成長として発現し、より多くの人々が賃金労働者の業績を批判的に見るように促したのです。学校の保護者団体、環境団体等の設立もこの時代の傾向でした。

 

厳しい労働市場と機会均等が、ボランティア活動に大きな影響を与えました。1980年代に失業給付を受けていた人々がボランティアをはじめるものの、後仕事を見つけた人の多くがボランティアを辞め、また卒業したばかりの学生は有給の仕事を優先させ、より多くの女性が仕事を持ち外に出るようになり、ボランティアに関わる時間が減少する傾向がみられました。

また、20世紀の世俗化による教会人口の減少もボランティア活動に大きな影響を与えました。

 

その一方で、社会の高齢化や移民などの人口動向は、新しいボランティアグループの参加を促しました。新たな傾向として、企業は従業員が勤務時間中または自社の就業時間内にボランティア活動に従事できるよう促すようになってきており、従業員のボランティア活動がますます普及してきています。

 

 

近年の動向

 

最近の政策文書や社会支援法に関する議論では、一般的に地方分権を目指し、個人の責任と自助を促す傾向が見られます。政府は、オランダ市民とその市民によって構成された組織によるイニシアチブに基づいた発展を達成することに力を注ぎました。

 

この方針の重要な柱の一つがボランティア活動です。市民が他者や政府に期待するのではなく、自らに責任を持っていく方法として考えられています。

 

 

オランダのボランティア人口と年代別ボランティアの傾向

 

2008年、推計530万人がボランティア活動を行いました。オランダの健康・福祉・スポーツ省によると、ボランティア参加人口は多少上下しながらも全体として安定しています。

 

ボランティア参加率には、男女で大きな差はないものの、男女で行うボランティアに違いが見られました。男性は、スポーツ、クリスチャンの教会/イスラム教のモスクなどの宗教関係で、女性は教育分野、介護、宗教の分野でボランティア活動を行うケースが多いです。

 

年代グループ別で比較すると、35歳~44歳が一番高く48.8パーセント、75歳以上が一番低く23.8パーセントの参加率です。その年代では、就学児童がいる傾向があり、それが影響して教育関係のボランティア活動が全体の75パーセントです。

 

一方で、2000から2008年にかけて、18歳から24歳のボランティア人口が減少しました。同年代が有給職を得る率の増加との関係が考えられます。また、若者の間で「汚い」イメージがボランティアに対してあるのも事実です。

 

しかし、若者のボランティア人口が再び上昇しつつあります。その理由の一つは、CSRなど企業内での取り組みが若者層のボランティア参加を促していること、そしてもう一つの理由は、学校のカリキュラムでボランティア活動が義務付けられていることです。

 

また、65歳以上のグループでは2000年から2005年にかけ、一週間ボランティア活動を行う時間は2.2時間から1.8時間に減少した。有給の仕事、孫の世話、あるいは家族の介護、その他の活動時間との競合しているためです。

 

年配者で、高い教育を受け、高い収入を得、社会において高いプロフェッショナルステータスを保ち、健康状態がよい場合は定期的に教会に通い、よりボランティア活動に時間を費やす傾向がみられます。

 

そして、リタイヤする以前からボランティア活動に関わっている人は、リタイヤ後にボランティア活動を始める人と比較して、よりボランティア活動を行う傾向がみられます。

 

55歳~69歳のグループでは、若い世代と同じぐらいのボランティア参加率。10人に1人が趣味グループの活動に積極的に参加しています。3パーセントは、政治活動に積極的でそれはどの年代別グループよりも高い比率です。

 

 

ボランティアの地域・教育・就労別の傾向

 

都市部でのボランティアの数は、非都市部に比較して少ないです。オランダ南東部のリンブルフ州の7つの街の最もボランティアの少ない市町村の20に含まれている一方、オランダ北部のフリースランド州に多くのボランティアがいます。

 

高等教育を受けたオランダ人はそうではないオランダ人と比較し、2倍ボランティアに関わっています。また、就業者のボランティア参加率は、42.5パーセント、一方非就業者のボランティア活動は47.6パーセントと大きな差は見られません。

 

 

関わっているボランティア活動の内訳

 

スポーツ関係のボランティア活動が一番多く12.4パーセント、思想系8.8パーセント、教育7.5パーセント、介護6.5パーセント、文化4.5パーセント、趣味4.1パーセント、ユース・ワーク3.8パーセント、近隣でのボランティア3.8パーセント等

 

2008年、ボランティアは週平均3.7時間活動しているます1997年から2007年の傾向は、ユース関係のボランティアの時間が長く、教育関係のボランティアの時間が短いです。上記の10年で、若者、スポーツ、レジャー、文化、宗教、トレードユニオン、政治関係のボランティア活動に費やされる時間が上昇しました。

 

 

ボランティアの法的枠組み

 

オランダには、ボランティアに関する法的な枠組みはありません。しかし、市町村レベルではボランティアに関する法令があります。例えば、社会的支援法(ソーシャル・サポート・アクト)は、チャイルドケア、就労、ハウジングなどの政策分野とボランティアのための支援の必要性を地方レベルに焦点を当て、包括的な政策を実施するための枠組みです。

 

ボランティア個人に対しても同様に法的な枠組みはありませんが、ソーシャル・サポート・アクトにボランティアのビジョンが記述され、ボランティア活動と関わっているボランティアはオランダ政府から認知されています。また、ボランティアに関する法の不在は、税制と生活保護の制度によって部分的に補完されています。

 

一般的に、ボランティア活動に費やした時間は、最低生活費給付の受給資格に影響します。しかし、福祉政策は自治体によって異なり、最低生活費給付の受給資格は通常ケースバイケースで考慮されます。例えば、いくつかの自治体でが、失業給付を受けている人々が、受給資格を失うことなくボランティアできるようにするための措置がとられています。

 

最低生活費給付に関する法(Algemene Bijstandswet)で受給者は、法に従い就職活動をする義務があるため、ボランティアに費やせる時間を制限されています。彼らの行うボランティア活動は夜あるいは週末に限られます。受給者は地方自治体に参加しているボランティア活動について報告し、それに対して地方自治体は、受給者にいくつかの点を確認しています。

 

一例としてボランティア活動が、ボランティアの就労機会を向上させたか。もし、それが確認されれば、ボランティアが就労時間中のボランティア活動を許可され、また給付金の受給資格をはく奪されることはありません。

 

 

個人ボランティアへの報酬または報酬に関する課税ルール

 

税務当局は、ボランティアが団体から受け取る必要経費は年間1,500ユーロ(月150ユーロ以下とする)まで非課税としています。その上限を超えたものの、それらが実際のボランティア活動にかかった経費を受領した場合(電話代、郵送費、旅費など)も非課税の対象となります。

 

しかしこの場合、税務署は一つずつの項目を詳細に確認し、正当性がない経費については収入とみなし、課税の対象となります。ボランティア団体がボランティアの経費を支払えない場合は、(ボランティア個人が支払い)ボランティア個人が年末調整の際に報告し、特定の条件下で非課税となります。

 

 

ボランティア団体の法的枠組み

 

ボランティアを受け入れている団体に対しての権利と責任に関する法的規定はありませんが、それらの団体は、ボランティア活動推進国際協議会(IAVE)の「ボランティアに関する普遍宣言」に参加しており、社会へのボランティアの基本的な価値について記述しているこの宣言の重要性を確認しています。

 

宣言文は、2001年1月にアムステルダムで開催された第16回世界ボランティア会議で、IAVEの理事会によって承認されています。

 

 

ボランティア団体に対するVAT免除 / 特典

 

CBWFのラベル(中央財務局から発行されたチャリティクオリティラベル)を受け取ったボランティア団体には特別税制措置が取られ、政府からの支援措置で寄付にはわずか8%の税金が課されます。

 

 

営利団体の法的枠組み

 

民間の営利団体の行うボランティア活動に関する法的枠組みはありません。民間企業でボランティア活動に関する取りきめを行いますが、従業員が勤務時間内または勤務時間外に行うボランティア活動に対して強制はできません。

 

POLSが2007年に行った調査では、11.9%の回答者は雇用主が年に1日以上のボランティア活動を従業員に許可しており、(またそれらの活動参加時は就業と同様にみなされ、)収入が発生します。上記の数値は約352,000人がボランティア活動に参加したことを意味しています。2008年の同調査では10.6%の減少が見られました。

 

CSRはますます重要になってきており、これまでに民間企業やネットワーク団体MVO Nederland(maatschappelijk verantwoord ondernemen)がCSRの一環としてボランティア活動の活性化を目的としたいくつかの取り組みを行ってます。

 

また、市町村が営利企業のCSRの取り組みを支援すべく、イベントを実施し、その中でボランティアを必要とする団体とのマッチングがされました。 

 

アーネム市で行った “Market Place Day”はその一例です。参加団体は、ボランティアが必要とされる分野を説明し、一方参加企業や従業員ができる貢献を探すというもの。現在その取り組みは、70の市町村に広がっています。

 

また、上記の活動に対応する形で、民間企業もボランティア活性化のための活動を行っています。NOV(Nederlandse Organizaties Vrijwillingerswerk)プロジェクトの「Partners in Participation」は、積極的に従業員をボランティア活動に関与させようとする企業を支援しています。

 

これは、市場と市民社会のつながりを強め、両者に共通の利益をもたらすことを目的としたCSR推進プロジェクトです。

 

 

ボランティアの経済的な側面

 

ボランティアに割り当てられた国家予算

 

オランダでは、ボランティア活動は主に市町村の責任で、国の果たす役割は補助的です。健康・福祉・スポーツ省は、ケアとボランティア活動に対して年間400万ユーロ(日本円で約5億円)、ボランティア活動にはその半分の200万ユーロを費やしています。

 

残りは、地方自治体の予算を経て地方自治体などを通じて、ボランティア保険や社会研修やボランティアのための仲介機能のために資金が使用されています。2000年から、地方自治体のボランティアやコミュニティケアの予算は760万ユーロ(約9億5千万)から、2007年には3200万ユーロ(約40億円)に上がりました。

 

 

ボランティア団体の資金源

 

2004年15団体を調査し、団体の資金源が寄付金、企業や銀行から援助等のプライベート資金が26%、メンバーからが24%、政府等公的機関からが23%、プロジェクトから得た資金が15%、グッズの販売やサービスからはわずか12%であったことが分かりました。

調査対象となった団体のうち8団体が年間の収入が15万1千ユーロ(約1,879万円)、1団体が26,000~50,000ユーロ(327万~622万円)の間、そして2団体が5,000ユーロ(62万円)以下でした。

 

 

ボランティアの経済的価値

 

ボランティアの労働力の経済的価値

 

TBOの調査によると、16〜74歳の人口の25%が、2005年にボランティア活動に約4.5時間を費やしました。これはフルタイムの421,000分の仕事に相当し、2005年のGDPの1.5%にあたります。

 

 

サービス代替のリスク

 

保健福祉スポーツ省によると、サービスの代替はリスクとしてではなく、政策の一環として認識されています。長期でケアサービスを利用することは、費用がかかるものであるため、その利用は検討を要するものとなりつつあります。

 

いくつかのサービスが、ソーシャル・サポート・アクトによって担われ、いくつかのケースでは現場の仕事はボランティアによって担われ、費用が発生していません。

 

この現在の政策の背景のため、ボランティアの必要性が高まっています。こうした動きは、ボランティアと専門家の協力体制をどのように改善し、自治体や専門機関はボランティア担う仕事について疑問を投げかけています。

 

これは、人々の協力に影響するだけでなく、介護施設や他の介護施設、ボランティア組織、地方自治体、福祉団体などの組織間の協力にも影響を及ぼしています。

 

介護における、ボランティアの役割における特定の課題/脅威は以下のようなものです。

  • 地方自治体・行政側は、予算削減策としてボランティアを活用し、ボランティア活動の勝価値を認識しない危険性がある。
  • ボランティアが増加するという政府の非現実的期待。
  • 地方自治体および介護施設は、ボランティアおよびボランティア団体に対して非常に高い要求をしている(強制されたプロフェッショナリズム)。
  • 介護・福祉団体はボランティアの依存度を強めている。これが、明確ではないボランティアへのタスク、非現実的なボランティアへの期待を生じさせ、ボランティアと専従の職員との間の緊張を生じさせている。

 

 

ボランティアの社会・文化的側面

 

ボランティアが置かれる状況、関わり方によりますが、ボランティア活動参加の利点は、意義深い余暇時間、社会的孤立の防止、新しいつながり、就業体験、仕事のリズムをつかむ、隠れた才能の発掘あるいは活用、社会的興味・関心を刺激する、ソーシャルスキルの向上等です。

 

アクターとして、また政策策定側としてコミュニティがボランティアによって得る利点は、社会的一体感を高め、社会的参加を促し、社会統合を助け、介護と福祉の質を向上させ、アクティブな市民を推奨し、環境を向上させ、ローカルコミュニティに裨益し、文化や年代を超えた対話を促し、社会を安定化させる等です。

 

 

国レベルでの、経済・社会的ゴールへの貢献

 

健康福祉スポーツ省によると、ボランティアの政策は、経済への貢献、社会政策の目的と一体であり、中央政府の政策は、社会の変化に対応するため、ボランティアを十分に活用することです。

 

最近のボランティア政策の動向は、移民のボランティア活動のニーズ支援の優先。同省は、ボランティア活動政策におけるゴールは全ての市民の参加。これは、社会的包括というゴールにおいて重要な役割を果たしていると指摘しています。

 

社会的訓練(ソーシャル・トレーニーシップ)は、中等教育で義務化されており、ボランティア活動は経験と能力の獲得に貢献しています。

 

最後に、ボランティアは次の政策エリアに貢献しています。持続的開発、環境保全、人権、ヒューマンキャピタル、多文化間対話(例:Project 1001 Power)、世代を超えての対話、アクティブエイジング、人道支援など。

 

 

ボランティアへの動機づけの要素

 

調査によると、次の点がボランティアにとって重要な点です。

人と出会えること、新しい友人を築くこと、孤独を避けること、タスク実行の機会を設けること、トレーニングを受けたことがない分野で役割を全うすること、キャリア構築において付加価値をつけること(雇用主がこの要素に目を向けつつあります)、(社会に対して)価値や目的ある活動を行うこと。

 

 

教育と訓練という文脈においてのボランティア活動

 

国の教育・訓練システムにおけるボランティアへのスキル、能力への認知、承認に関しては、現時点で、公式的なボランティアのスキルや能力への認知・承認は、教育制度に存在しません。

しかし、いくつかの団体がボランティアへの証明書を発行しています。政府は、多くのボランティアが労働市場に居ることを認識しており、公式的に彼らを承認する制度を整備しています。オランダユトレヒトの財団MOVISIE は最近になり、そうして認証システムを作るため資金を受けました。

 

 

ボランティア活動における課題

 

国レベル、地域レベルのボランティア関係者へのインタビューを通じて浮き彫りになった課題は以下の通りです。

 

  • オランダの国内的な課題として、潜在的な阻害要因を見つけることはその後適切なアクションを取るためにとても切実な問題である。更にイノベーションは、現在のボランティア環境で鍵となる要因である。
  • 地域のレベルにおいては、ボランティアのための適切なインフラは、地方自治体および地方自治体からの援助(例えば、ボランティアセンターの支援など)によって確保されなければならない。
  • 団体レベルでは、リクルート、ボランティアへのコーチングを行うこと。団体は、柔軟に関わるボランティアに対応しなければならないこと。ボランティアは、定期的な活動というよりは年間で数週間の活動という関わり方。
  • 個人のボランティアは、有給の仕事と余暇の時間の間でどのように時間を工面するかという問題。

上記に加え、全体的にオランダのボランティア環境では以下のような課題があります。

十分な数の適切なボランティアを見つけること。ただ、ボランティアの数は、深刻な問題ではなく、過去数十年をみても安定的です。

 

むしろ問題は、ボランティアがコミットできる時間の短さです。現代の忙しいライフスタイルと有給の仕事の忙しさ、そして彼らのコミットできる期間、特定のスキルの必要性が挙げられています。

 

これらの問題に対処すべく、ボランティアを受け入れる団体は短期のプロジェクトでボランティアを募集することが推奨されています。

 

また、現在需要と供給の間でのミスマッチがあります。全体的に、団体をマネジメントするボランティアに比較して、オペレーションを担うボランティアの数は十分な数が存在します。

 

結果的に、いくつかの団体では、ボランティアをサポートするための職員を雇うのですが、常にそれら職員がボランティアを差し置いて仕切り始めてしまう可能性があります。

 

 

行政、立法上の問題

 

ボランティアが活動に費やすことができる時間という点でかなり制限されていることを考慮すると、現場の多くのステークホルダーは煩雑な官僚主義的手続きを取り除くべきだと感じています。複雑な行政手続きの結果としての管理上の負担は、ボランティアの時間を最大限に活用するための真の障壁と言えます。

 

加えて、ボランティア団体により多くの責任を与える傾向があり、増えていく規制とも相まって団体の機能を硬直化させています。法規制・規則の複雑さがその適用を困難にしています。

例えば、ボランティアに報酬を与えることは、ボランティアを受け入れる団体が管理上の負担を増すことを意味します。もう一つの例は、専門家とボランティアが一緒に働く地域では、法規則によりボランティアが自らのタスクを行うことを妨げられています。

 

 

若者のボランティア活動への認識

 

若者はボランティア活動に対して「汚れる」イメージを持つ傾向があり、現在は小数の若者がボランティア活動に従事しています。特に、18歳から25歳の若者は、ボランティア活動への関心が低く、「楽しさ」と「経済的な余裕」が重要であると感じています。彼らの多くは放課後や週末に仕事をしているので、ボランティア活動に費やせる時間ごくわずかでです。

 

一方で、多くの若者が「非公式に」友人や親族を助ける何かしらの行動をとっています。ナショナル・ユース・カウンシルが実施した小規模(オンライン)調査によると、若者はボランティア活動に参加したくはないが、誰かのために何かをしたいと考えています。若者は「ボランティア活動」という言葉が好きではないようです。オランダの若者は、ボランティアを誤って理解している傾向があり、ボランティア活動を慈善事業のために働くことや介護という文脈で捉えている者が多いのです。

 

若者自身に加えて、若いボランティアを受け入れている団体にはいくつかの障害があります。一つは、団体が若者の受け入れに十分に備えていないことです。若者を受け入れたいと望んでも、団体側は既存の規則の変更を望まず、そして若者もそれら団体と快く活動を行えない状況があります。

 

そして、団体は若者の興味や経験に合った活動を提供しておらず、柔軟ではありません。この状況を改善し、若者を刺激するため、ナショナル・ユース・カウンシルは、ボランティア活動の良さを若者に知ってもらう、I Am Great(”Ik ben geweldig”)‟ キャンぺーンを実施し、様々なボランティア団体もこのキャンペーンに参加しました。

 

若者はキャンペーンのウェブサイトhttp://www.ikbengeweldig.nl/geweldigheid/testの質問に答え、その結果から自らに適したボランティア活動を探すことができるのです。

 

教育システムの中で行われる社会訓練を通じて、若者たちはボランティアのイメージを変え、活動参加の良さを見出し、学校卒業後もボランティアを続けることが期待されます。

 

そして、ボランティアを受け入れる団体は若者という特定のターゲットグループをよりうまく対処する方法を学ぶことが期待されています。